設立趣旨

日本フードサービス学会とは・・・

    日本のフードサービス産業(いわゆる外食産業)は、今や年間30兆円に迫る市場規模であり、私たちの日々の食事の3分の1を担うほどに、私たちの食生活にとって極めて重要な存在となっています。このことは、すなわちフードサービス産業が我が国の経済社会に大きな影響を与える産業であるということです。

    また、一口にフードサービス産業といっても、その産業活動は人々の営みの様々な分野と関わりを持っています。国内外の歴史や文化はもちろんのこと、農業や流通をはじめとする多くの産業、さらには経営学やマーケティング、経済学、人間工学、都市工学等々の社会科学・人文科学・自然科学、そして地域社会や環境等、多岐にわたる分野との関わりを持ち、その関わりの度合いは今日ますます強まっています。

    こうしたフードサービス産業と関わりのある様々な分野では、従来からそれぞれ独立した学術研究が行われてきました。各々の分野での理論的実証的研究等はそれなりの成果を挙げ、当該分野の学術や関連産業の発達に寄与していますが、フードサービス産業をトータルの研究対象とする学術研究は未だ十分に行われておりません。従来の視点から見れば学際的な学術研究が、ひとつの学問領域として確立されていないことは、現在のフードサービス産業の社会的役割から見て、極めて残念なことと言わざるを得ません。

    そこで、従来個別に研究していた各分野の研究者たちが、「フードサービス産業研究」というひとくくりの下にいろいろな角度からフードサービス産業(外食産業)を学術的に研究しようということになり、社団法人日本フードサービス協会の支援を得て日本フードサービス学会が設立されました。

    フードサービス産業に熱い思いと深い興味を抱く各分野の人たちが、垣根を超えてひとつの交流の場を形成し、研究成果を発表するなど、相互に研鑽を図ることは、フードサービス産業に関する学術的研究の促進に繋がると考えられます。さらに、従来の分野間の垣根を取り払った積極的な交流は、各分野の学術研究をより一層発展させるものと期待されます。

    また、我が国のフードサービス産業は、海外の食文化を積極的に取り入れており、学術的研究に際しても国際的な視点が不可欠です。したがって、フードサービスに関する理論的研究ばかりでなく、実証的研究をも含めた学術研究の「先進国」である米国を始めとして、諸外国との積極的な国際交流を促進することも、我が国のフードサービス産業研究者に必要であると考えられます。こうした国際交流の機会を提供することも、日本フードサービス学会の目的のひとつです。